伊勢神宮への本参道として多くの参拝者が往来していた旧伊勢街道の路地を進むと誰もが足を止める場所がある。
歴史を感じさせる魅力ある外観が見るものの足を止めたやまない。
それは古く江戸時代のベストセラー、弥次さん喜多さんで有名な十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の「東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)」にも登場する老舗「麻吉旅館(あさきちりょかん)」の姿。
今回はNHKのブラタモリをはじめ各界の著名人も訪れている老舗旅館「麻吉旅館」の宿泊料金や予約方法、アクセス方法のほか、千と千尋の神隠しのモデルとされるエピソードなどについて紹介します。
さて、さっそく麻吉旅館についてチェックしていきましょう!
麻吉旅館 お伊勢参りの宿
麻吉旅館は通り沿いから見える聚遠楼(じゅえんろう)の建物だけを一見すると歴史ある古い旅館としか感じないかもしれない。
しかし、路地を進んで行くとその本館、右手の名月・雪香之間(めいげつ・せっこうのま)前蔵(まえぐら)土蔵(どぞう)といった建物が立地の高低差を有効に活用し、いくつもの棟が斜面に建つ木造寄棟造3階建ての複雑な建築様式で端々に楼閣の面影をいまに残していることがうかがえる。
旅館の玄関を通り越し、突き当たりの階段を下りて行くと頭上に左右に建つ麻吉旅館本館と麻吉旅館名月の建物をつなぐ渡り廊下が見えてくる。
そのまま渡り廊下をくぐるように階段を下りてから来た道を振り返り見上げる。
するとその風景はノスタルジックで江戸時代にタイムスリップしたかのような不思議な感覚になれる、おすすめの見学ポイント。
さらに下りきると現在では資料館となっている黒焦色の建物(切妻造の土蔵)がある。
200年以上もの時間、いくたびもの風雨にさらされてきた建物。
おかげ横丁のように観光者向けに江戸時代の伊勢の町並みを再現されたそれにはない自然な風合いと歴史の重いがあるといいます。
海外から訪れた親日家の外国人観光客は興味深々で好印象だとか。
訪れるなかにはカメラを持った若い人女性たちも少なくないらしく、中途半端ではないその古さが新鮮に感じられるのかも知れない。
一部ではその外観がスタジオジブリのアニメ「千と千尋の神隠し」のモデルではないか、建物の雰囲気が似ているという声もあるようです。
確かに夜になり、麻吉旅館の提灯に明かりがともりはじめると昼間の落ち着いた雰囲気から変わり、妖艶さをかもしだすと「千と千尋の神隠し」に登場していても不思議ではない感じもする。
わざわざ、カメラを持って夜な夜なその光景を撮影しようと訪れる人もいるらしい。
実は、この麻吉旅館では不思議な現象が起こる。
一種のスピルチュアル的なスポットだともいわれているそうですが、どちらかというと内容的にはパワースポットです。
科学的に説明のできるもので怖い霊的な現象ではなく、泊まった部屋でデジカメを連写して光の玉のようなものが映りこむと幸運が訪れるという良い方の話です。
そんな朝吉旅館は、伊勢神宮の内宮や外宮まで徒歩30分ほどでアクセスできることから人気があり宿泊を希望するなら予約をしていく方が間違いはない。
記事の最後に宿泊料金の目安や住所などアクセス方法を紹介しておきます。
五大遊郭「古市」と「花月楼 麻吉」
昔から聖があれば俗があるといわれる。
麻吉旅館のある古市も伊勢神宮への参拝の道とされた旧伊勢街道沿いにあり精進落としの場として栄えました。
現在では旅館として宿泊客を迎えている麻吉旅館も江戸のころ「花月楼 麻吉」として何人もの芸妓を抱えるお茶屋でした。
古市遊郭は江戸の吉原、京都の島原、大阪の新町、長崎の丸山とならび五大遊郭といわれ大変な賑わいだったようです。
油屋騒動で知られる「油屋」は、この伊勢の古市にあった遊郭が舞台になっている。
油屋騒動?
知らない人も多いですよね。
麻吉旅館とは関係はありませんが、簡単に紹介します。
千と千尋の神隠しのモデル・ストーリ?
内宮に近い宇治浦田に住む医者の孫福 斎(まごふくいつき)が油屋に訪れ、遊女のお紺を相手に酒を楽しんでいた。
そこに新たに徳島から3人の客が訪れ、2人の遊女と斎の相手をしていたお紺が店から呼ばれました。
斎はお紺が他の客の座敷に行ったことに散々と文句を言っていたようだが、下女(下働きの女性)に帰るようになだめられながら玄関に向かった。
下女が預かっていた脇差(小刀)を渡すやいなや、ザクッ!!
その下女に指からは血が滴(したた)る。
それに気づいた下男(下働きの男性)と別の下女が慌てて駆けつける。
シュッ!ザック!バサーー!!
下男の親指が切れ、下女は肩を斬りつけられ血しぶきが舞う。
我を忘れた斎はさらに血の滴る小刀を片手に油屋の奥へ奥へと進む。
そして油屋の主人清右衛門の母を見つけるや斬り殺し、2階から下りてきた遊女2人とお紺を相手に飲んでいた3人の客にも騒動に気づいて下りてくる。
ズブッ!グワァ!ガシャーン!
次々と斬りつけられ2階に逃げようとするも斎に追いかけられ命が絶たれる。
ちなみに、お紺は難を逃れたとされているが斎は自らこの世を去った。
9人か斬りつけられ3人が命を落としたこの騒動は、お伊勢参りに来ていた人々によって瞬く間に話が全国に広がったという。
現在では「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」として歌舞伎の演目となっている。
また、実在した油屋と宿泊客も巻き込む騒動など「千と千尋の神隠し」のストーリーに少し似たところもあり、外観の雰囲気が似た麻吉旅館がモデルではないかという噂の背景なのかもしれない。
次に宿泊を検討する人に料金とアクセスについて紹介します。
予約方法と宿泊料金
宿泊料金の目安
素泊まり
和室6畳 大人1名1室:7.900円~8.900円(2022年3月まで満室)
和室10畳 大人2名1室:7,900円~10,900円
1泊朝食付き
和室6畳 大人1名1室:8.900円~9.900円(2022年3月まで満室)
和室10畳 大人2名1室:8,900円~11,900円
1泊夕食つき
和室6畳 大人1名1室:12,700円~13,700円(2022年3月まで満室)
和室10畳 大人2名1室:12,700円~15,700円
1泊2食つき
和室6畳 大人1名1室:13,700円~14,700円(2022年3月まで満室)
和室10畳 大人2名1室:13,700円~16,700円
表示している料金は、ひとり当たりの宿泊料金です。
※チェックイン/16時~ チェックアウト/~10時
※2021年6月現在の料金のため繁忙期など宿泊時期の正確な料金は、麻吉旅館HP、宿泊予約サイト(じゃらん/るるぶトラベル/Yahoo!トラベル)にでご確認ください。
じゃらん:麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック
るるぶトラベル「麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック」
Yahoo!トラベル:麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック
お部屋は麻吉旅館の外観イメージを崩すことのない畳の和室で田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家に泊まりに来たような温もりと安らぎ感がある。
そんな雰囲気が好きな人にはたまらない宿。
伊勢神宮の内宮や外宮までのアクセスが良いことでも人気のある麻吉旅館なだけに、観光シーズンなどは予約をしておかないと満室で泊まれないこともある。
部屋数は6部屋程度のため、あまり大きな団体での宿泊は難しいので予約の際に確認した方が無難です。
露天風呂などはなく、男女それぞれ5~6人程度が入れる内風呂がある。
入浴は7時~22時まで。
トイレ設備
トイレは様式のウォシュレット付きなので古い建物は和式だから宿泊を避けているという人も安心して泊まることができる。
旅館内は古い建物特有の急な階段があり、足腰の弱い人の宿泊は難しいかもしれない。
しかし、遊郭、楼閣だったころの面影を残す歴史的にも貴重な建物の内部構造は建築美の観点からも単に古い和風旅館ならばどこにでも味わえるというものではなく、麻吉旅館だからこそです。麻吉旅館は文化庁に登録有形文化財として登録されている。
予約方法
麻吉旅館の予約方法は大きく2つです。
- 電話で予約
- パソコンやスマホからネット予約
ネット予約の場合
「じゃらん」「るるぶトラベル」「Yahoo!トラベル」でネット予約ができます。
※2021/06/28 時点
じゃらん「麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック」
るるぶトラベル「麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック」
Yahoo!トラベル「麻吉旅館の宿泊予約と料金をチェック」
電話予約の場合
0596-22-4101
アクセス
住所:三重県伊勢市中之町109
電話:0596-22-4101
最寄り駅:近鉄五十鈴川駅
直接、伊勢神宮に行く場合には伊勢市駅または宇治山田駅を利用しますが、荷物が多い場合には旅館に預けてから神宮参拝や観光に行くと思います。
その場合には五十鈴川駅から約15分程度歩いて麻吉旅館まで。
その後、慣わしにそって参拝するなら伊勢神宮の外宮、内宮の順にどちらにも徒歩30分でアクセスできます。
※五十鈴川駅は特急しまかぜ、また一部特急電車が停車しないため五十鈴川駅まで特急を利用の際は乗車駅にてご確認ください注意してください。
近鉄電車テレフォンセンター
営業時間:8~21時
050-3536-3957
最寄りIC:伊勢自動車道に伊勢西ICまは伊勢IC
駐車場:10台(無料)
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