熊野古道 伊勢路
世界的に珍しい道の世界遺産として注目された「熊野古道」
今ふたたび、中高年を中心に連休などは若い女性たちも訪れるなど人気になってるようです。
その背景には近年の登山ブームからトレッキングの延長としてとらえられているのかもしれない。
さらに若い世代からは男女問わずパワースポットとしても注目されているようです。
どうせなら達成感だけでなく、美しい景色が楽しめるうえに神秘的なパワーを吸収できそうな熊野古道を歩きたいと思うのは自然なことですね。
今回は、熊野古道のなかでも注目されている伊勢路への東京からのアクセス方法と人気コースの最寄り駅から見どころ、記事の最後にルートを地図にマーキングしてご紹介しています。
さっそく、熊野古道について簡単にチェックします。
どこにあるの?
おおまかに三重県、和歌山県、奈良県、大阪府の1府3県にまたがっています。
たぶん、一度は耳にしたことがあると思います。
でも、実際に「熊野古道」は何県にありますか?
そう聞かれると「・・・?」
そんな人も少なくはないと思います。
では、そもそも熊野古道とはなんなのでしょうか。
熊野古道とは
紀伊山地に点在している3つの霊場「熊野三山」「高野山」「吉野・大峯」という神聖な「聖地を結ぶ参詣道」が熊野古道です。
「熊野」は熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3社等の総称「熊野三山」を意味します。
熊野詣で最大の目的である本宮大社については「熊野本宮大社のアクセス方法とお守り・期間限定の御朱印」で書いています。
※2018年は本宮大社の創建2050年目の記念行事や期間限定の御朱印を配布しています。
社寺を巡る道といえば、弘法大師こと空海の足跡をたどる四国お遍路が有名ですよね。
四国の遍路道は基本的に円状にぐるっと四国をまわるコースに対して熊野古道は熊野三山を中心に太陽の日差しのように放射状に広がるいくつかのルートがあります。
その熊野古道で代表的な人気のコースといえば中辺路、大辺路、小辺路、大峰奥駈道、紀伊路、伊勢路(順不同)です。
では、それぞれ簡単にチェックしましょう。
6つの参詣道
- 中辺路(なかへじ)
- 大辺道(おおへじ)
- 小辺路(こへじ)
- 大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)
- 紀伊路(きいじ)
和歌山県の田辺から本宮を経て那智、速玉を結ぶ道。
田辺から那智、速玉を経て本宮を結ぶ海側を進むルート。
和歌山県の高野山から本宮を結ぶ道で熊野古道では2番目に険しいルート。
奈良県の吉野山から本宮に至る道。
熊野古道の中でもっとも険しく、修験道の修行場でもあった。
大阪から和歌山県田辺に至る道。
伊勢路にならび古くから知られていた古道。
そして、今回のメインになる伊勢路です。
熊野古道伊勢路(くまのこどういせじ)とは
熊野三山と伊勢神宮を結ぶ道、それが「熊野古道伊勢路」です。
白河上皇の熊野御幸の後、平安の貴族たちに伊勢神宮とともに熊野三山へ参詣をするという伊勢熊野巡礼が広まりました。
やがて江戸時代には一般庶民にもお伊勢参りとあわせ熊野詣も盛んだったことが記録されています。
また伊勢路は「祈りの道、導きの道」ともいわれます。
次に伊勢路の特徴、コースについてチェックします。
伊勢路の特徴
- バリエーションのある石畳。
- 竹林や自然に囲まれた神秘的な雰囲気。
- 熊野灘を見晴らす風景。
- 山と海それぞれの風景が楽しめる。
また比較的に平坦な道が多く、はじめて熊野古道を歩く人に優しいコース。
そんな背景もあって伊勢路を通るコースが人気になっています。
それだけではなく、東京など関東方面からアクセスする場合には伊勢路の沿線である熊野または紀伊新宮を熊野古道ツアーの基点にすることが多いからです。
そのため、素直にアプローチする人は自然と伊勢路コースを歩くようになります。
また熊野は伊勢路の山側の峠道と海側のコースの岐路にもなっています。
逆に西側の大阪からだと紀伊路で田辺に向かい中辺路で本宮、大辺道で那智や速玉が自然だと思います。
しかし、江戸時代には西側からの場合でも伊勢神宮を参拝してから熊野三山へ向かうコースが人気だったようです。
やはり、いつの時代も伊勢神宮は特別な存在で「伊勢へ七度、熊野へ三度」の一節からも分かるようにお伊勢参りからの熊野詣が庶民のあこがれだったんでしょうね。
余談になりますが、沖縄では伊勢よりも熊野信仰が盛んだったようで主だった神社は熊野権現をご祭神としています。
本題に戻します。
全区間を成人男性が平坦な道を徒歩想定した場合でも1日8時間、時速4~5kmでも4日~5日、宿泊は熊野古道周辺のホテルや旅館だったとしてもそこまでの移動、さらにゴツゴツとアップダウンのある峠道。
ある程度ゆとりを持って歩くなら約1週間~10日のスケジュールを組む必要があります。
しかし、それは体力的にも日数的にも現代人には厳しい。
そのため「これぞ熊野古道!」と感じられるポイントや美しい風景を楽しめるところだけを歩く日帰りの短距離コースが伊勢路には複数あります。
では、伊勢路のなかでも訪れる人が多い人気のコースをチェックしてみましょう。
松本峠~七里御浜コース
※ある程度ゆっくり歩きながらを想定。
※休憩、速度など人によって所要時間は異なります。
アクセスは行き:JR大泊/帰り:JR有井駅
熊野古道の伊勢路でも緑が美しい峠道と青い海と空が清々しい海道の両方が楽しめて人気のあるコース。
緑を楽しむ峠道は入口からつづく古道の石畳から鎌倉、江戸と時代ごとに違った敷石の形状が見られる。
頂上には化け物(ばけもの)と間違われ撃たれたという伝説が残るお地蔵様が迎えてくれる。
コース上の東屋からは熊野灘と七里御浜を見渡すことができる。
松本峠だけでも熊野古道の雰囲気を体感することはできます。
でも、せっかくなら海と空の青さも体感したい。
また海側にはいつくかの見どころがある。
では、見どころを簡単に紹介します。
見どころ
熊野古道伊勢路の松本峠とつながる海岸線を歩く海沿いのハイキングコースとして整備されている。
見晴台からは熊野灘を一望することができ晴れた日は気持ちいい開放感を味わえます。
七里御浜にある大きな岩。熊野灘の波の浸食でつくりだされたもので獅子が口を開けほえているように見えることから獅子岩の名がついた。
一説には大馬神社の狛犬の役割を果たしているともいわれている。
日本書紀では伊勢神宮の内宮の神さま、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の母神で国生み、神生みの女神「伊邪那美命(いざなみのみこと)」の墓所とされている場所。
およそ50mほどの巨石そのものが花の窟神社のご神体。
手水舎もあり、その横に置かれる注連縄がかかった丸い大きな石も神が鎮まる石とされている。
鬼ヶ城から熊野川河口付近まで約22km(七里)つづいている砂浜。
波が打ちよせる砂浜も熊野古道の伊勢路に含まれている。
熊野古道の最大の見どころは熊野三山ですが、今回は伊勢路のなかの松本峠~七里御浜で紹介しました。
一般的には熊野古道の一部なので伊勢路そのものが大きな意味で世界遺産ですが、実際には対象でない区間もあります。
このコースは熊野古道伊勢路のなかでも世界遺産に登録されている場所を考慮して組み立てみました。
せっかくなら世界が認めた自然がつくりだす美しい風景と神秘の光景をみて歩きたいですよね!
最後にアクセス方法をチェックします。
交通アクセス
伊勢志摩への旅行者の多い東京・関東方面と大阪方面から伊勢路の主要駅を到着点としたアクセスを想定してご案内します。
- 東京~名古屋
- 名古屋~紀伊長島・尾鷲・熊野・新宮
- 大阪~松坂
新幹線のぞみ
所要時間:1時間45分
JR特急ワイドビュー南紀
所要時間
紀伊長島/2時間
尾鷲/2時間20分
熊野/2時間50分
新宮/3時間10分
東京からアクセスする場合、新幹線で名古屋を目指します。
名古屋からJR特急のワイドビュー南紀に乗り換え、それぞれの駅を目指します。
近鉄特急
所要時間:1時間
松坂からはJR特急ワイドビュー南紀に乗り換え。
紀伊長島までは1時間程度
- 東京駅から約6時間20分
- 大阪駅から約3時間20分
高速料金目安:11.640円/ETC 8.100円
日曜の朝8時出発で想定。
東京から東名豊田JCT、伊勢湾自動車道で四日市JCT、東名阪で亀山から伊勢道の勢和多気JCTを目指します。
勢和多気から紀勢道または熊野街道(42号線)の紀伊長島IC、尾鷲北IC、尾鷲南IC、熊野大泊IC(熊野尾鷲道路)
高速料金目安:2.110円/ETC 1.428円
日曜の朝8時出発で想定。
大阪から西名阪の天理IC、名阪の伊勢関ICから勢和多気JCTを目指します。
勢和多気からは東京からのアクセス方法と同様に紀勢道または熊野街道(42号線)を利用します。
- 東京方面からの所要時間:約8時間
埼玉大宮営業所、東京池袋東口、新宿西口から出発します。
運行は1日1便、西武バスと三重交通の南紀勝浦線。
池袋から乗車の場合、伊勢神宮へ向かう乗り場と同じです。
詳しい場所は「伊勢神宮へのアクセスを高速夜行バスで格安にしたい!」で画像を使って紹介しています。
※注意
新宿から乗車する場合、バスタ新宿ではなく南紀勝浦線は新宿西口バスターミナルから出発します。
2017年1月16日から南紀勝浦線(南紀大宮線)もバスタ新宿での発着となりました。
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