衣替えと神御衣祭
日本では季節の移り変わりで大きく年2回の衣替えがありますよね。
家庭ではハッキリとしませんが、学校や会社では基本的に6月と10月に制服、スーツの衣替えをします。
近年では春の衣替えをクールビズに切り替わったという表現をすることもあります。
なかには衣替えのタイミングで断捨離(だんしゃり)やその年の流行にあわせて夏物の服を買う人も少なくないですよね!
ところで衣替えと伊勢神宮になんの関係がある?
ふつうに考えたら疑問に思いますよね。
今回は衣替えの時期にはおこなわれる、伊勢神宮の神御衣祭(かんみそさい)についてご紹介します。
さっそく、衣替えの時期をおさらいしてみます。
衣替えの時期
冬服 10月1日
地域によって早かったり遅かったりするところもあります。
ハッキリと服装の切り替わったことが見てとれる学校の制服は基本的にこの時期に衣替えをします。
直接的な衣替えのルーツは中国の更衣(こうい)という習慣が日本に渡り、平安時代の宮中においてはじまったとされます。
これを踏まえたうえで伊勢神宮の神御衣祭という神事の日程をチェックします。
神御衣祭の日程
秋 10月14日 12時~
この神御衣祭は年2回、春と秋におこなわれます。
神宮では毎年決まって実施する神事や祭事を「恒例祭(こうれいさい)」といっています。
さて、ここで衣替えと神御衣祭の実施時期がそう変わらないと思いませんか?
実は、神御衣祭とは神さまの衣替えともいえるもので伊勢神宮においても意義深いものだとされます。
では、神御衣祭とはどんな神事なのでしょう。
神さまの衣替え
神御衣(かんみそ)は、神さまの衣(ころも)。
簡単にいえば、神さまが着る服のことをいいます。
神宮では多くの神事、祭事を外宮先祭(げぐうせんさい)という古い慣わしにならって先に外宮(豊受大神宮:とようけだいじんぐう)でおこないます。
しかし、この衣替えは天照大御神(あまてらすおおみまみ)の内宮(皇大神宮:こうだいじんぐう)の正宮、第一別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)以外では実施しません。
でも、神さまの衣替えってどんな衣装に着替えるのでしょう。
女神さまのオートクチュール
神さまが衣替えされる衣装のことは誰も知らないんです。
はぁ?
ちょっと ふざけるな!
ですよね。
でも、理由があります。
天照大御神はデザインセンスもあり裁縫もお得意な女子力の高い女神さま。
ましてや最上の神さまに着ていただく服を選ぶなんてことは誰もできません。
だから、服ではなく「反物、糸、針」を奉納します。
選ばれる素材と生地をオーダーされている場所はハッキリしています。
- 絹・・・和妙(にぎたえ)
- 麻・・・荒妙(あらたえ)
神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ)
神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)
こだわりの素材は「絹と麻」です。
神服織機殿、神麻続機殿は織物工場ということになりますね。
どこでも良いというわけではなく、伊勢神宮に属する松坂市内2つの神社で織られた「和妙(絹)と荒妙(麻)」の反物だけが天照大御神の神御衣の素材として許されています。
ちなみにオーダーメイドではなくオートクチュールにしたもふざけた表現ではありません。
「神宮に属する神社でのみ」という点からです。
サンディカ加盟店でオーダーした服に限って「オートクチュール」と呼ばれるというところから適したものではないかと。
少し話がずれましたので本題に戻します。
新しい服を着るとなんとなくテンションあがりますよね!
神さまも新しい御衣を着ることでテンションがあがってパワーもアップされます。
神さまの衣替え、それは季節ごとに服を変えるというものではなく古くなった服から新しい服に衣を替えて常に若々しく凛とした神々しさを保つという大切な意義を持った祭事です。
余談ですが、一般の拝観もできるためアパレル・ファッション業界で活躍される有名な著名人も参拝に訪れるらしいので運がよければ遭遇できるかも。
また、この日は5月14日は内宮の別宮「風日祈宮」で神事もおこなわれる。
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