出雲大社 神在月(神在祭)2024年
旧暦の10月に全国から神様が集まる場所、それが伊勢神宮とならび日本の神道を代表する出雲大社(いづもおおやしろ)です。
今回は出雲大社の「神在月(かみありづき)」や「神迎祭(かみむかえさい)」「神在祭・縁結大祭(かみありさい・えんむすびたいさい)」など一連行事の日程・内容、神在月期間中の参拝の作法について紹介します。
出雲大社の神在月は旧暦の10月に実施するため、その年毎に日程が変わります。
さっそく、2024年 神在月の期間をチェックしましょう!
神在月の期間(出雲大社・島根)
2024年11月10日(日)夕刻 ~ 11月17日(日)まで
開催日 | 行事・会場 | 開催時刻 |
---|---|---|
11月10日 | 神迎神事(稲佐の浜) 神迎祭(神楽殿) |
19時~ |
11月11日 | 神在祭(御本殿) | 9時~ |
11月11日 | 龍蛇神講大祭(神楽殿) | 11時~ |
11月15日 | 神在祭・縁結大祭(御本殿) | 10時~ |
11月17日 | 神在祭・縁結大祭(御本殿) | 10時~ |
11月17日 | 神等去出祭(拝殿) | 16時~ |
11月26日 | 第二神等去出祭(拝殿) | 16時~ |
これら大きく5つの祭事を総じて「神在祭」と俗に言われているようですね。
神在祭(神在月)の期間中に限らず、10月~11月が年間でもっとも参拝者が訪れます。
以前、私が神在祭の期間中に参拝した時もホテルで仲良くなった女子旅のグループさんは有給を利用してきたといっていたので、平日だからとあなどらないほうが良いと思います。
なかには、神在月の内容についてもう少し知りたいという人もいると思います。
次に代表的な神事を紹介します。
神在月の5つの神事
会場:稲佐の浜
簡単にいえば、神様をお出迎える神事です。
古来より、神様たちは稲佐の浜から出雲にみえられるとされています。
そのお出迎えを稲佐の浜で行います。
そこから出雲大社の神楽殿まで約1kmを龍蛇神の先導で一緒にお供するというものです。
この神迎神事に参加すると「神迎御幣(かみむかえごへい)」をいただくことができます。
どんなものか。
それは、ちょっと意地悪ですが、いただいた時のお楽しみです。
さらに、お供された方が神楽殿で実施される「神迎祭」に優先して案内されます。
直接、神楽殿に行っても支障はありません。
会場:神楽殿
神迎祭は、遠くから集まられた神様に歓迎の意味を込めて実施する歓迎会です。
歓迎会の内容は、出雲国造が祝詞を奏上、巫女が舞を奏上して神々のおもてなしをします。
会場:御本殿
人々の幸縁を祈願する神事です。
この縁結大祭には多くの参拝者が全国から訪れます。
その理由の1つに幸縁むすび祈祷というものがあります。
こちらは良縁、福縁をいただくためのご祈祷で、あまりにも人気があり、定員制になっています。
また、事前申込みが必要。
申込みは、毎年実施日の約1月前から。
縁結大祭の幸縁むすび祈祷には、祈祷料:5000円が必要。
会場:拝殿
神様をお送りする送別会。
神様たちは、仮拝殿で神在祭と神儀りが無事に終わったことを祝うそうです。
そして、出雲大社の楼門からお住まいの地域に戻られます。
その際「お発ち」と神職が三唱します。
会場:神楽殿
龍蛇神講という団体に入られている人が参加する神事です。
そのため通常は観光で参拝される人には関係ありません。
龍蛇神は、火災や水害から家を守るとされ、また豊作、豊漁をもたらす神様ともいわれています。
また、開運の神や商売繁盛の神様として関西では崇められているようです。
この神在祭の期間中に授与されるお守りも参拝の記念になりますね。
出雲大社での神在月の日程や神在祭の内容については以上です。
しかし、あまり知られていませんが実は出雲地域の神在月はまだ続きます。
出雲大社から発たれた神々はそれぞれの地元に帰られるのではなく、同地出雲の日御碕神社、佐太神社、万九千神社、朝山神社、神原神社、神魂神社、多賀神社でおこなわれる神在祭におでになり、旧暦10月26日に万九千神社から神々が出雲をお発ちになるという説があります。
そのため、出雲大社では神々をお送りする神等去出祭を2回おこなっています。
次に神在月について簡単に解説します。
神在月とは
現代のカレンダーでは、10月を「神無月(かんなづき)」といいます。
しかし、出雲では旧暦の10月を「神在月」といいます。
その理由は、出雲大社の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の元に全国から神々が集まるからです。
他の地域には留守神さま以外の神さまが不在になるため「神無月」といいますが、出雲には神々がいらっしゃるため文字通り「神が在る」で「神在月」といいます。
カレンダー上の神無月(かんなづき)は例年不動で10月1日から31日までです。
しかし、旧暦の場合はその年によって変動します。
本年2024年(令和6年)の場合
現代のカレンダに置き換えると「11月10日から12月9日まで」の30日間が「旧暦の10月」です。
その期間のうち、稲佐ノ浜での神迎え祭からはじまる出雲大社の神在月(神在祭)は旧暦10月10日~17日で、2024年は「11月10日の夕刻~11月17日」となります。
そして、出雲から神々が最終的にお発ちになるのは旧暦10月26日で、2024年の場合は「11月26日」です。
誰でも、せっかくなら出雲大社の神在月・神在祭の期間中に行きたいと思うのが人情、自然なことですね。
神在月に神様は出雲で何をされているのでしょう?
神在月に開催される「神さまの会議」
出雲大社に集まった神様は、「神議(かむばかり)」という会議します。
議題は「すべてのもの縁を結びつける」
出雲大社の大国主大神は広く縁結びの神様として知られています。
そこで集まった神様は「男女の縁」をはじめ人の縁、仕事の縁、お金との縁などの結びつけについて決定します。
これが「神在月」に行なわれる神様の大切なお仕事。
縁結びの会議中は静粛に!
神在月の出雲大社は、例えるなら国会期間中の本会議場。
大切なすべての人や物、出来事などの結びつけについて神さまたちが話し合っています。
普段なら部屋の前で大きな音で拍手をして訪問の挨拶をしていますが、会議中に大きな音を立てては邪魔になってしまいます。
そのため、神在月の間、古くから出雲では拍手の際に大きな音を立てないという気遣いの作法があります。
しかし、一切の音を立てない拍手ということではありません。
無音の拍手は神道式の葬儀において50日祭(仏教では四十九日法要)までおこなわれる「偲び手(しのびて)」と勘違いされるので無駄に大きな拍手を打たないという程度にされると良いですね。
参拝方法は従来どおり、出雲式の四拍手。
出雲大社の参拝方法
お守りやお札については出雲大社のお守り・神札
この神在月の期間中、出雲に来られた神さまに振舞われた甘味が今では冬の人気スイーツになっています。
出雲大社の神在餅とお忌みそば
神在月の出雲大社で神等去出祭の日に小豆と餅を焚きお供えした「神在餅(じんざいもち)」が「出雲ぜんざい」の起源だとされています。
この話は、けっこう有名ですよね。
でも、それだと他のブログさんと変わらないので別の小ネタを紹介しますね。
日本三大蕎麦に数えられる「出雲そば」も出雲名物です。
この「出雲そば」も、神在月に神在祭を終えられた神々が、それぞれの国に戻られる「神去出祭の日」に振る舞われたことから、出雲大社周辺ではその期間中「神去出そば」「お忌みそば」と呼んだりする粋なそば店があったりします。
でも、お忌みそばの「お忌み」ってどんな意味があるのでしょう。
神在月のお忌みさん
神在月におこなわる神在祭以外のお祭りを地元ではお忌みさんと呼んだりします。
それは神在月の期間中、出雲大社には神々が滞在され話し合いをしているのだから神さまをおもてなしする神楽以外の大きな音を立てるのは遠慮しましょうという古来からの考え方があるためです。
この神在月に参拝を考えている人は混在具合も気になりますよね!
最後に混雑状況と交通規制について紹介します。
神在月期間中の混雑と交通規制
年間を通じて、もっとも多くの参拝者が訪れる1週間です。
そのため、拝殿や神楽殿を中心に大変な混雑となります。
車を利用の場合、渋滞を緩和させるため交通規制が実施されますので注意してください。
去年の交通規制
- 18時半~29時
- 県道大社日御碕線:宮内交差点西側~稲佐の浜の区間
参考までに出雲を旅するなら日本遺産に認定された出雲神話の舞台を訪れてみても良いと思います。
日本遺産
「日が沈む聖地出雲 ~神が創り出した地の夕日を巡る~」
神在月に神迎神事のおこなわれる「稲佐の浜」や「日御碕」から見る夕日は絶景です。
また、あまり知られていませんが出雲大社は「天日隅宮(あめのひすみのみや)」日御碕にある日御碕神社を「日沉宮(ひしずみのみや)」と称され、古の時代より日本の北西にある出雲は、日が沈む聖地とされています。
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