月次祭(6月・12月)
伊勢神宮では年間を通してさまざまな神事祭事がおこなわれています。
そのなかでも10月の神嘗祭と6月・12月の月次祭は三節祭と呼ばれる由緒深いものです。
比較的に神嘗祭(かんなめさい)は聞いたことがある人が多いと思います。
でも、月次祭は「つきじ」「げつじ」?
その意味や内容どころか読み方すら分からないという人も少なくないと思います。
今回は6月と12月の月次祭の日程や意味、内容などについて紹介します。
では、詳しい日程を確認する前に月次祭の意味と読み方をチェックしましょう。
意味と読み方
月次祭は全国各地の神社でもおこなわれている祭事。
その意味は月例のお祭り。
読み方は「つきなみさい」
これに対してその神社にとって重要な日などに年1~2回ほど盛大におこなわれる恒例のお祭りを「例大祭」といいます。
今ではその例大祭しか実施していないところもありますが、以前は身近にある小さなお宮さんでも実施していました。
現代でも神職が奉職している神社では毎月1日・15日など決まった日に月次祭を実施しています。
奉職?
聞きなれない言葉ですが、読み方は「ほうしょく」といいます。
意味は公の職に就くことで公務員なども国民に奉仕する職業ということで「奉職」という言い方をします。
さらに神職の場合は「神さまに奉仕させていただく」という意味で用いられています。
では、次に伊勢神宮での月次祭についてチェックしましょう。
伊勢神宮の月次祭
12月15日~17日
月次祭の意味で説明している月例の祭事と矛盾しますが、伊勢神宮では6月と12月におこなわれています。
とても大切な祭事で神宮でもっとも重要とされる神嘗祭(かんなめさい)と6月と12月の月次祭を総じて「三節祭(さんせつさい)」と呼んでいます。
では、もう少し詳しく日程を確認します。
6月の月次祭
-
外宮(げくう)
- 由貴夕大御饌
- 由貴朝大御饌
- 奉幣
6月15日 22時
6月16日 深夜2時
6月16日 12時
-
内宮(ないくう)
- 由貴夕大御饌
- 由貴朝大御饌
- 奉幣
6月16日 22時
6月17日 深夜2時
6月17日 12時
12月の月次祭
-
外宮
- 由貴夕大御饌
- 由貴朝大御饌
- 奉幣
12月15日 22時
12月16日 深夜2時
12月16日 12時
-
内宮
- 由貴夕大御饌
- 由貴朝大御饌
- 奉幣
12月16日 22時
12月17日 深夜2時
12月17日 12時
それぞれ両正宮につづき別宮、摂社、末社、所管社でもおこなわれます。
ここでまた読み方に悩む漢字が出てきましたね。
では、次で祭事の内容と読み方についても簡単にチェックしましょう。
三節祭は新米試食会!
(ゆきのゆうべのおおみけ)
由貴朝大御饌
(ゆきのあしたのおおみけ)
奉幣
(ほうへい)
三節祭に共通するこの3つの神事。
簡単にその内容をチェックします。
由貴夕大御饌、由貴朝大御饌は外宮では豊受御大神(とようけおおみかみ)内宮では天照大御神(あまてらすおおみかみ)にその年に収穫した初穂(新米)をお食事としてお供えする神事。
奉幣では天皇陛下が遣わされた勅使(ちょくし)によって幣帛(へいはく)が供えられる。
そして、いづれの月次祭も皇室の繁栄と五穀豊穣、国家の隆昌、そして国民の平安を祈願します。
ちなみに「由貴」は清浄で穢れのないという意味。
神嘗祭、6月と12月の月次祭で大御神にお供えされる尊い初穂を納めておくところを由貴御倉(ゆきのみくら)といいます。
なかには伊勢神宮の中心は内宮の御正宮、天照大御神なのに食事やお供えの順番は外宮が先であることに疑問を持った人もいるかも知れません。
その疑問は外宮先祭という伊勢神宮における考え方に由来しています。
詳しくは伊勢神宮 参拝方法でご紹介しています。
いまでも古くからの慣わしに従って毎月実施しているところがあるのに伊勢神宮は6月と12月の年に2回しか月次祭をしないの?
そう思う人もいるかも知れません。
伝統や習慣を大切にしている日本神社界トップの伊勢神宮なのに確かに不思議ですよね。
でも、伊勢神宮では毎月さまざまな祭事、神事がおこなわれています。
それどころか日別朝夕大御饌(ひごとあさゆうおおみけ)という神さまにお食事をお供えする神事が毎日2回、約1500年も続けられています。
しかし、おなじ大御饌でも「由貴の大御饌」はその年の秋に収穫した初穂を10月の神嘗祭、12月、翌年6月の月次祭で神さまに食べていただくという違いがあります。
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